最近よく耳にするようになったDX(デジタルトランスフォーメーション)ですが、
いつ頃できた用語なのでしょうか?

これは、2004年にエリック・ストルターマン教授がスウェーデンのウメオ大学在籍中に、
論文「Information Technology and the Good Life」の中で提唱した、
DigitalとTransformation(X)を組み合わせた言葉です。
その中で彼はDXを、
「デジタル技術が生活のあらゆる側面に変化を与え、
リアル空間にデジタル技術が浸透することにより、
組織・個人・社会に起こる変化」と定義しました。
エリック・ストルターマン教授は、
スウェーデン出身の情報学者で、
現在はアメリカ合衆国のインディアナ大学情報学・コンピューティング学・工学系研究科の教授および上級副学部長を務めています。
日本ではこの言葉自体は2011年ごろからWEBなどで見かけるようになり、
2018年に経済産業省が、
「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」(DX推進ガイドライン)を策定しました。
このガイドラインは、主に以下の2つの柱から構成されています。
DX推進のための経営のあり方、仕組み
経営戦略・ビジョンの提示:
経営者は、DXの目的やビジョンを明確にし、
具体的な経営戦略を策定する必要があります。
これにより、組織全体が共通の目標に向かって進むことができます。経営トップのコミットメント:
DX推進には、経営層自らが変革の重要性を理解し、
積極的に関与することが求められます。
トップダウンのリーダーシップが、組織全体の変革を促進します。DX推進のための体制整備:
デジタル技術を活用した新たなビジネスモデルの構築には、
社員の挑戦を支援し、継続的な学習と成長を促す環境づくりが重要です。
DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築
全社的なITシステムの構築のための体制:
部門間の連携を強化し、
全社的に最適化されたITシステムを構築するための組織体制を整備することが必要です。全社的なITシステムの構築に向けたガバナンス:
システムの複雑化やブラックボックス化を防ぐため、
ベンダー任せにせず、
内部での管理と統制を強化することが求められます。事業部門のオーナーシップと要件定義能力:
各事業部門が主体的にシステム要件を定義し、
ベンダーに依存しない体制を築くことが、
効果的なDX推進につながります。
このガイドラインは、企業がDXを推進する際の具体的な行動指針を提供し、
経営層から現場まで一体となって変革を進めるための道標となります。
2022年9月、経済産業省は企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進を促進するため、
「デジタルガバナンス・コード2.0」を策定しました。
この改訂版では、デジタル人材の育成・確保や、
サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)/
グリーントランスフォーメーション(GX)との連携など、
時勢の変化に対応した新たなトピックが盛り込まれています。
「デジタルガバナンス・コード2.0」は、
企業がデジタル技術を活用してビジネスモデルや経営戦略を革新し、
持続的な企業価値の向上を図るための指針を提供しています。
具体的には、以下の3つの視点と5つの柱が示されています。
3つの視点:
- ビジョン・ビジネスモデル:
デジタル技術を活用した新たなビジョンやビジネスモデルの策定。 - 戦略:
ビジョンを実現するための具体的な戦略の立案。 - ガバナンスシステム:
戦略を効果的に推進するための組織体制やガバナンスの構築。
5つの柱:
- 経営ビジョン・ビジネスモデルの策定と公表:
デジタル時代に適した経営ビジョンやビジネスモデルを明確にし、ステークホルダーに伝える。 - 戦略の策定と実行:
ビジョンを具現化するための具体的な戦略を策定し、実行する。 - 成果と重要な成果指標の共有:
DX推進の成果や進捗状況を定量的な指標で測定し、社内外で共有する。 - ガバナンスシステムの構築:
DX推進を支える組織体制や意思決定プロセスを整備する。 - デジタル人材の育成・確保:
DXを推進するために必要な人材の育成と確保に取り組む。
特に、デジタル人材の育成・確保に関しては、
企業が自社のDX推進に必要なスキルや知識を持つ人材を育成し、
確保することの重要性が強調されています。
また、SX/GXとの連携では、
デジタル技術を活用して環境問題や社会課題の解決に取り組む姿勢が求められています。
このように、「デジタルガバナンス・コード2.0」は、
企業がデジタル技術を活用して、
持続的な成長と競争力の強化を図るための包括的なガイドラインとして機能しています。
企業はこのコードを活用し、DX推進の取り組みを加速させることが期待されています。